磨く、手放す、積み上がる。
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最近、少し不思議に思っていたことがあります。
仕事は以前よりずっと効率的になりました。
事務所は自宅にあり、朝起きればすぐに仕事にかかれます。
打ち合わせも、調べものも、商品の販売も、かなりのことが画面の前で完結するようになりました。
AIを使うようになってからは、さらにできることが増えています。
移動する時間が減り、仕事に使える時間は増えました。
それは、望んでいた働き方でもあります。
それなのに最近、以前よりも外へ出る理由が減っているような気がしていました。
どこかへ行こうと思っても、出るのが少し面倒になる。
知りたいことがあれば検索すればいい。
人と話したければオンラインでも話せる。
便利になった一方で、身体を動かす必要がなくなりました。
そこで、旅について考えるようになりました。
なぜ、人は旅をするのでしょう。
おいしいものを食べに行く。
その土地でしか食べられないものがある。
会いたい人がいる。
普段見ない景色や、知らない場所を見てみたい。
どれも旅をする十分な理由です。
けれど、美しい景色ならスマートフォンでも見ることができます。
多くのことは検索すれば知ることができます。
それでも、わざわざ行く。
どうやら、人は情報だけを求めて移動しているわけではなさそうです。
会社がくれていたもの
ここまで考えて、もう一つ気づいたことがありました。
長く会社員として働いていた頃、会社は給料や仕事だけを与えていたわけではありませんでした。
朝、行く場所がある。
人に会う。
自分とは違う考え方に触れる。
課題を与えられる。
誰かと一緒に考える。
成果が出れば喜ばれる。
時には評価され、次の目標が生まれる。
もちろん、面倒なこともたくさんありました。
けれど会社という場所には、知らないうちに自分を動かしてくれる仕組み・構造がたくさんあったのだと思います。
起業し、自由になり、仕事を効率化すると、その多くを自分で決められるようになります。
その代わり、
誰に会うか。
どこへ行くか。
何を目標にするか。
何を達成したら嬉しいのか。
それも、自分でつくらなければならなくなります。
自由になるということは、案外簡単ではないのかもしれません。
検索ではなく、人から聞いた場所へ
では、これからどこへ行けばいいのか。
新しい趣味を探したり、旅行サイトで行き先を探したりすることもできます。
でも最近は、少し違うやり方でもいいのではないかと思っています。
人から聞いた場所へ行く。
「あそこは一度行った方がいいですよ」
「この店は本当においしいですよ」
「あの人には会ってみるといいですよ」
そう言われたら、実際に行ってみる。
検索結果から選ぶ場所とは違って、そこには最初から人との関係があります。
なぜ、その人がそこを勧めてくれたのか。
実際に行ってみて、自分は何を感じたのか。
そこでまた誰かに出会い、別の場所を教えてもらうかもしれません。
目的地を探すというより、縁を辿って移動する。
そんな旅なら、少し面白そうです。
これまで積み上げたものから、次をつくる
仕事についても、同じことを考えています。
ゼロから新しいことを始め続けるのではなく、これまでの経験の中から、自分なりの型を見つける。
何度も試して、少しずつ良くしていく。
そして、ある程度磨けたものを、自分だけで抱え込まない。
人に渡す。
仕組みに渡す。
AIに渡す。
経験なら、次の人に伝える。
そこで誰かが成果を出せば、その人の経験として、また次へ積み上がっていく。
考えてみると、これは最近、会社経営で大切にしている言葉と同じでした。
磨く、手放す、積み上がる。
磨く。
これまでやってきたことの中から、自分なりの型を見つけ、少しずつ良くする。
手放す。
不要なことをやめるだけではなく、磨いたものを人や仕組みに渡していく。
積み上がる。
仕事、経験、信用、人との縁が残り、それがまた次の仕事や経験を生む。
もともとは、小さな会社をどう運営していくかを考える中で生まれた言葉でした。
けれど最近、これは仕事だけの話ではないのかもしれないと思うようになりました。
これまで積み上げてきたものを磨く。
自分だけで抱えず、誰かに渡していく。
人から受け取った縁は、実際に辿ってみる。
そこから生まれた経験や関係が、また次へ積み上がっていく。
新しい何かを、ゼロから探し続けなくてもいい。
これまで積み上げてきたものの中に、次に動く理由はもうあるのかもしれません。
しばらくは、この循環に沿って動いてみようと思います。
磨く、手放す、積み上がる。
考えたことも、こうして文章にして手放しておけば、
いつかまた、何かにつながっていくのかもしれません。