本当の体験は、人がつくる。
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2026年8月
先日、新宿で一人のホテルマンの方とお会いしました。
島根県・隠岐諸島にあるホテル、Entô(エントウ)のゼネラルマネージャー、伊藤さんです。
このご縁は、数年前、新宿高島屋で展示していたALLESTのスーツを見つけていただいたことから始まりました。
その後、ホテルのユニフォームについてご相談をいただき、やり取りを続けてきました。
今回、伊藤さんが東京へ来られるということで、新宿でお会いし、ゆっくりお話をする機会をいただきました。
ジオパークの魅力。そして、人の魅力。
Entôは、島根県・隠岐諸島にあります。
自然や地層、海。
隠岐ならではの雄大な自然は、もちろん大きな魅力です。
けれど、今回のお話で私が最も印象に残ったのは、別のことでした。
伊藤さんのお話を聞きながら感じたのは、
「体験とは、人との出会いなのかもしれない。」
ということです。
ホテルのスタッフ自身が地域に入り、地元の人たちと関係を築いていく。
漁に関わったり、地域のお祭りに参加したり、日々の暮らしの中で人とつながっていく。
そして、そのつながりの中へ旅人をご案内する。
観光地だけを案内するのではなく、そこに暮らす“人”と出会ってもらう。
そんなお話が、とても心に残りました。
地域に溶け込む。
伊藤さんご自身も、地域の人たちと一緒に過ごしながら、島で暮らしているそうです。
ホテルの中だけで仕事をするのではなく、自ら地域に入り、人と関係をつくっていく。
だからこそ、旅人にも、その土地の本当の魅力を伝えることができるのでしょう。
土地の魅力とは、美しい景色や食べ物だけではない。
そこに暮らしている人と出会い、話し、その土地の日常に少し触れる。
それもまた、旅の大切な体験なのだと思いました。
「会ってほしい人が、たくさんいる。」
お話の中で、伊藤さんが何度も口にされていた言葉があります。
「紹介したい人が、たくさんいるんです。」
面白い人がいる。
素敵な人がいる。
会ってほしい人が、たくさんいる。
一人の話が終わると、また別の人の話が出てくる。
その話し方から、本当に島の人たちが好きなのだということが伝わってきました。
聞いているこちらまで、
「その人たちに会ってみたい。」
「隠岐へ行ってみたい。」
と思うようになっていました。
そして、その時、ふと自分のことを思い出しました。
ALLESTのBotanicalTech® WABIを、自分で販売していこうと決めた頃のことです。
この素材は、本当に着心地がいい。
このスーツなら、一日を楽に過ごせる。
自分自身がそう感じていたから、誰かに話す時にも、自然と熱が入っていました。
上手に売ろうとしていたというより、
「これは、本当にいいんです。」
と伝えたかったのだと思います。
伊藤さんが隠岐の人たちについて話す姿を見ながら、その時の自分と少し重なりました。
本当に好きなもの。
本当にいいと思っているもの。
本当に会ってほしい人。
そこには、説明の上手さとは少し違う力があります。
その人自身が心からそう思っているから、聞いている人にも伝わる。
そして、人を動かす。
今回、私が隠岐へ行ってみたいと思ったのも、きっとその力なのだと思います。
外から来た人を受け入れてきた島。
隠岐には、古くからさまざまな人が本土から渡ってきた歴史があります。
後鳥羽上皇も、この地で長い年月を過ごしました。
伊藤さんのお話を聞きながら、外からやってきた人を受け入れてきた島の歴史と、今の人のつながりにも、どこか通じるものがあるように感じました。
歴史がそのまま現在の文化につながっている、と簡単に言えるものではないと思います。
それでも、長い時間の中で育まれてきた土地の空気のようなものは、きっとあるのでしょう。
私も、地域とつながってみたい。
話を聞きながら、自分自身の暮らしについても考えました。
私は西東京で暮らし、少し離れた場所では農作業のお手伝いをすることがあります。
それも私にとって、大切な時間です。
でも、もっと自分が暮らしている地域にも目を向けてみたい。
地域のお祭りに参加してみる。
誰かが困っていたら、少し手伝ってみる。
近くにいる人と話してみる。
特別な「体験」を探しに行かなくても、日常の中に、人とつながるきっかけはたくさんあるのかもしれません。
心地よさは、人から生まれる。
ALLESTでは、着心地の良い服をつくることを大切にしています。
身体が楽であること。
移動が快適であること。
服を気にせず、一日を過ごせること。
でも、本当に心地よい暮らしは、服だけでは完成しません。
人とのつながり。
地域とのつながり。
誰かのちょっとした優しさ。
そんな目には見えない心地よさが重なることで、毎日は少し豊かになっていくのだと思います。
伊藤さんとの時間は、
「心地よさとは何だろう。」
という、ALLESTがずっと考えていることを、服とは少し違う角度から考える時間にもなりました。
そしてもう一つ。
本当にいいと思っているものを、自分の言葉で誰かに伝えること。
それはホテルでも、地域でも、服でも、案外同じなのかもしれません。
ALLESTの一着から始まったご縁が、隠岐というまだ訪れたことのない場所へとつながりました。
いつか実際に隠岐を訪れて、こんな素敵な部屋からの海の風景を見たい。
Photo by Kentauros Yasunaga
そして、伊藤さんが「これ一番好きな朝日」と見せてくださった写真(↓この写真)の実物を見たい!
そして、美しい景色を見るだけではなく、
伊藤さんが「会ってほしい」と話してくださった人たちに、
会ってみたい。
そんな旅をしてみたいと思っています。
私たちも、
一着の服をお届けしたいだけではありません。
その服を着て過ごす一日が、昨日より少し心地よくなること。
その積み重ねを、お届けしたいと思っています。
だから、
ALLESTは今日も、
着心地から考えています。
